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ニッカン蹴球倶楽部コラム

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2006年02月 6日

アフリカ選手権で見えたアラブ世界の構図:海島 健

 5つのW杯出場枠のうち4枠を初出場国が占め世界を驚かせたアフリカだが、波乱の流れは1月下旬に始まったアフリカ選手権(エジプト、決勝2月10日)でも止まらない。まさにサプライズの連続だった。

 W杯出場組のアンゴラ、トーゴ(ともにグループB)は、あっけなく1次リーグ敗退。ガーナも3戦目のジンバブエ戦で足元をすくわれ、ナイジェリア、セネガルのW杯出場を逃した国に決勝トーナメント進出をもっていかれてしまった。2010年W杯開催の南アフリカに至っては3戦全敗で敗退と不振は深刻である。逆にギニア、コンゴ民主共和国(旧ザイール)のベスト8入りなどが目をひいた。

 今回この大会に出ている中東の国は4つ(エジプト、リビア、モロッコ、チュニジア)。その中でもアフリカ地区唯一W杯連続出場を決め、前回のアフリカ選手権(2004年)王者「カルタゴの鷹」チュニジアと、開催国エジプトの動向に注目していたが、ともにベスト8進出を決めてくれた。

 開催国エジプトは、1勝1分けで3戦目コートジボワール(こちらすでに2戦2勝)戦に挑んだ。この相手にW杯予選ではホーム、アウエーとも負けており、引き分けでもいいというわけにはいかなかったようだ。主力は、ほぼ全員が3戦続けての出場となった。エースFWドログバを休ませたコートジボワールに対し、トヨタ杯で来日したアルアハリのいわゆるバミューダ・トライアングル(メタエブ、トリカ、バラカト)が3戦目になってようやく先発としてそろった。プレミアリーグのエジプト希望の星ミドとの連係もよく、メタエブの2得点などで3−1でリベンジを果たし、見事グループ1位でエジプトサポーターを喜ばせた。

 一方のチュニジアは初戦のザンビア戦がFWサントスのハットトリックなどもあり4−1と圧勝。2戦目の南アフリカ戦もボール支配率では拮抗(きっこう)していたものの、ボールを持った時の素早く正確で攻撃的な、前を向いたパス交換や、ワン、ツーで圧倒。サントスと後半から入ったベンハシュールが決め2−0で快勝した。3戦目は主力のほとんどを温存し、あえて1位通過をギニアに譲ったかのような戦いぶりにも見える0−3の敗戦。2位通過することによって地元エジプトと決勝まで当たらないことになったが、これが狙いだったのではないだろうか。

 と言うのも、チュニジアが1次リーグを戦ったアレキサンドリアのスタジアムにはチュニジア人サポーターと、同じアラブの国であるチュニジアを応援する地元エジプト人サポーターが詰めかけ、ホーム同然の雰囲気で試合ができたからだ。対戦相手がすべて非アラブ人国??であったことは、チュニジアにとってラッキーだった。

 アラブの連帯を目の前で見せ付けられて、うらやましくなった? いや、しかし、アラブの人々はそう単純ではない。1、2戦は良かったが、チュニジアが3戦目にギニアに負けると「この負け犬め!!」だの「0−3」だのと、エジプト人がからかい半分に挑発を始め、それにチュニジア側も応戦。スタジアムの内外で小競り合いや、乱闘まで起きてしまった。最後は機動隊が両者を引き離さなければならなくなってしまう事態に発展。やはり一筋縄ではいかないのだ、アラブ世界は。

 中東サッカーウオッチャーとしては、エジプト−チュニジアの決勝を見たかったのだが・・・。チュニジアの実力、グループ1位を譲った(?)余裕と地元エジプトの好調ぶりからすれば十分あり得るだろうと思っていたが、準々決勝でチュニジアがナイジェリアにPK戦で惜敗し、対決は幻となってしまった。

 一方、エジプトは2010年W杯開催を南アフリカと争って苦杯をなめ、さらに今回のW杯出場を逃し、サポーターに「償い」をするはずだったトヨタ杯でも同国の代表的なクラブであるアルアハリは2戦2敗に終わってしまった。代表でもクラブでも、ここ最近結果を出していない。自軍のちょっとしたパスミスや消極的なバックパスにいちいち大ブーイングを浴びせ、シュートをはずせば激高しがちなサポーターを見ていると、ちょっと心配な面もある。準々決勝でコンゴ民主共和国(旧ザイール)を破り、4強には進出したが・・・。

海島 健(うみしまけん/バーレーン大学講師)
 1965年、東京生まれ。一橋大学社会学部卒、97年よりバーレーン在住。98年バーレーンでのガルフ杯のころからバーレーンの試合を見続けている。湾岸の弱小国の時代から追いかけているだけに、06年W杯ドイツ大会の最終予選の組み合わせ(日本とバーレーンが同組)には感慨ひとしおだった。現在はバーレーン大学で日本語の講師を務めており、蹴球倶楽部では中近東のサッカー情報を伝える。

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