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ニッカン蹴球倶楽部コラム

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2006年04月 3日

「インシャーアッラー」ではすまない?サウジの現状:海島 健

<親善試合:ポーランド2−1サウジアラビア>◇3月28日◇リヤド

 サウジアラビアが敗れた翌日、同国のスポーツ紙「アルリャディア」は「緑の軍団、ポーランドテストに失敗」と1面で報じた。「ディフェンスのミスで緑の軍団は落胆する羽目に。前半はそれなりに良かったのだが…」という記事が続いた。

 前半7分、左サイドを突破され、クロスをFWソシンにヘッドで決められ早々と失点。ソシンの周りにいた3人のDF全員がボールウオッチャーになっており、ノーマークでの失点は明らかな大ポカであった。同27分にセットプレーで同点に追いついたものの、後半18分に再びビデオテープで見るような同じミスでソシンに決勝ゴールを許し、1−2の敗戦となった。

 対照的だったのはポーランドDFで、開始早々の前半4分にカフタニ(アルヒラル)のシュートにしっかり体を寄せてプレッシャーをかけた。また、同16分のテミヤート(アルヒラル)のFKをがっちり止めた昨季の欧州CL決勝PK戦のヒーローGKドゥデク(リバプール)は、さすがと思わせるものがあった。サウジアラビアのパケタ監督も試合後に「今日はポーランドのディフェンスから学ぶものが多かった」とコメントした。

 サウジアラビアの攻撃に関しては3月1日のポルトガル戦に完敗(0−3)してから少しずつ上向いているのは確かだ。今回、先発にドーキ(アルイテハド)を戻し、チームメートの右MFヌールとともに右サイドからチャンスを多くつくった。前半27分の同点弾は、ドーキの速くて重い正確なFKをレダタカル(アルイテハド)が頭で決めたもので、ドーキのクロスは何度も相手を脅かした。

 それでもディフェンスが2度もゴール前で相手をフリーにするポカがあっては勝利はおぼつかない。

 こういった状況になっているのは、バックアップするサッカー協会にも問題があるのかもしれない。前回のコラムでも触れたが、サウジアラビアは非常に多くの親善試合をW杯本番までに組んでいる。しかし、予定の変更もとても多い。3月の2試合に限っても、ポーランド戦が29日から28日になったし、18日の試合もアイスランド、ウルグアイとなって最後にイラクに落ち着いた。3月の時点で5月以降のスケジュールは対戦予定順に南アフリカ、メキシコ、チェコ、ルーマニア、フランスだったのだが、現在ではベルギー、トーゴ、南アフリカ、メキシコ、チェコ、アンゴラ、ルクセンブルグになっており、目が回りそうである。

 まさに「インシャーアッラー」(=神が望むのであれば、実現するであろうの意味)スピリットここにありという感じだ。W杯まで2カ月あまりのこの時期、本大会で対戦する相手と戦術面などで似たチームと試合を組んで本番への準備とする期間だと思うのだが…。

 あまりに予定が立たない状況を目の当たりにしていると、これくらいの柔軟性があった方が、予期せぬ出来事の連続であるサッカーの世界では強みを発揮する場面もあるのではないかという気さえしてくる。3月1日に予定されていたアジア杯予選サウジアラビア−日本の試合が、サウジ側の都合で一方的に延期になったのを覚えていらっしゃる方もいるだろう。大局的に見れば、あの出来事も「インシャーアッラー」台風の一被害に過ぎなかったのだと、サウジアラビアを追いかけてみて気づいた。

 それはともかく、3月1日のポルトガル戦では敗戦にも比較的悠然としていた(ように見えた)サポーターたちも、こうふがいない試合が続くと、さすがにその忍耐にも限界があるようだ。

 ポーランド戦後、イライラを募らせたサポーターの怒号が、テレビを通じてはっきりと聞こえた。3月15日のイラク戦も、勝利を目前にしたロスタイムに失点し2−2のドローで終わっており、2006年のサウジアラビア代表は今までのところ1勝5分け3敗。W杯イヤーにこの状況では国民が怒るのも無理もないことだろう(1勝はアジア杯予選イエメン戦)。

 W杯では、ふたを開けてみればサウジアラビア大躍進!! 「あのころは本当にひどかったけどそれがいい薬になったね。サウジ式ごたごたかえっていいんじゃないの、サッカーには」なんてことを6月には言われてほくそえんでいたい。
 アラブ人のしぶとさを見せ付けてほしい。同じアジアの仲間としてそう思う。

海島 健(うみしまけん/バーレーン大学講師)
 1965年、東京生まれ。一橋大学社会学部卒、97年よりバーレーン在住。98年バーレーンでのガルフ杯のころからバーレーンの試合を見続けている。湾岸の弱小国の時代から追いかけているだけに、06年W杯ドイツ大会の最終予選の組み合わせ(日本とバーレーンが同組)には感慨ひとしおだった。現在はバーレーン大学で日本語の講師を務めており、蹴球倶楽部では中近東のサッカー情報を伝える。

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