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ニッカン蹴球倶楽部コラム

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2006年06月12日

日本代表とアジアの覚醒:海島 健

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 ついに始まりましたね、W杯ドイツ大会。バーレーンでも多くの喫茶店やホテルのバー、ファーストフードの店などでテレビに見入る人々をあちこちで見かけます。

 開幕戦、ドイツ-コスタリカは湾岸の人にとっては比較的感情移入のしにくいカードだったんですが、筆者の行った「ベランダ」という喫茶店は100席ほどの店内がW杯初日から満席になりました。

 前回のコラムで、この湾岸地域で圧倒的な人気を誇る4カ国(ブラジル、アルゼンチン、イタリア、スペイン)について述べさせていただきましたが、つい最近また面白い話を聞きました。

 サッカー観戦をよく一緒にするジャベールという友人がいるのですが、彼は子供のころからのアルゼンチンファンだそうです。小さい頃、彼の周りにいた大人たちはサッカーの話題といえば、ブラジルかアルゼンチンのことを話していたといいます。そして、彼が初めて自覚してW杯を見たのが86年メキシコ大会。あの「マラドーナのための大会」でした。それ以来のアルゼンチンファンということです。ジャベール氏のような形で上記4カ国、とりわけブラジルとアルゼンチンに熱を入れた人は多いようです。つまり、自分のサッカー観戦史の思春期とも言える時期に、勢いのあった国を今でも心情的にサポートしているということでしょうか。

 以前、ジャベール氏の村に行って、テレビでサッカーを見たことがあります。親戚や近所の人が20人ほどが1つの部屋に集まっての観戦。こういった形のサッカー観戦はバーレーンでは、よくある風景なのですが、このスタイルが彼らの感情面での「感染」を引き起こしているようにも見えます。サポートする国のバラエティーが少ない原因の1つでしょうか。

 さて、5月30日のドイツ-日本はこちらでもアルジャジーラスポーツ(カタール)でライブ放映され、多くのアラブ人をうならせました。試合後に「今回、日本はW杯で何かをやるに違いない」と言ってきたサッカー通も、かなりいました。ジャベール氏も「あのGKイエンス・レーマン(アーセナル)から2点取ったことがすごいことだ」などといい点をついてきます。同じくアルゼンチンファンで、普段は日本の動向など気にも留めないアデル氏も一転して「オレたちは同じアジア人だよな? なっ!!」と握手を求めてきました。さらに都合のいいことに、(内容が良くなかった)日本-マルタ戦は流すテレビ局もなかったので、これについてコメントする人はいません。(笑)

 ですから、ブラジルと日本の同居するF組はここにきてがぜん注目度アップです。12日のオーストラリア戦も、18日のクロアチア戦もいろいろな反応、コメントがもらえそう。3戦目のブラジル戦はもちろんブラジル見たさで、ほとんどの湾岸サッカーファンが注目することになりますが、日本の戦い方しだいでは日本ファン出現といった新しい流れもありえるのでは?

 筆者自身、あのドイツ戦における日本代表のプレーには「美しさ」を感じました。「(相手DFの)裏をとるのは簡単だった」などという日本代表サムライ戦士のコメントなどは本当に頼もしい限り。ドイツ大衆紙ビルトのドイツ人対象の調査では日本が「W杯で番狂わせを演じそうなチーム」の断然トップ(35%)になったそうです。「同感!!」と大声でアラビア半島からも叫びたいところです。

 喫茶店ではサッカー好きのお父さんに連れられた思春期前後の子供たちも多く見かけます。アラブの子供たちを日本代表が魅了させてくれることを願っています。お父さんたちを納得させなければならないことはいうまでもありませんが。

※写真はバーレーンでも人気の高いアルゼンチン代表のFWクレスポ(ロイター)

海島 健(うみしまけん/バーレーン大学講師)
 1965年、東京生まれ。一橋大学社会学部卒、97年よりバーレーン在住。98年バーレーンでのガルフ杯のころからバーレーンの試合を見続けている。湾岸の弱小国の時代から追いかけているだけに、06年W杯ドイツ大会の最終予選の組み合わせ(日本とバーレーンが同組)には感慨ひとしおだった。現在はバーレーン大学で日本語の講師を務めており、蹴球倶楽部では中近東のサッカー情報を伝える。

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