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荻島弘一コラム

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2006年06月20日

一番悔しいのは柳沢なんだ

 確かに、柳沢のシュートは悔しかった。クロアチア戦の後半6分、加地からのクロスをゴール目前で合わせたのに、ゴールを大きく外れた。日本中で「オレでも入るよ」と叫んだ人も多かっただろう。さすがに、柳沢自身も試合後はがっくりして「インサイドキックで蹴れば良かった」と話したらしい。ただ、勝てなかった責任を誰かに負わせ、フラストレーションを誰かに向けるなら、その標的は柳沢なのかもしれない。

 技術的な問題や、精神的な面など、いろいろ言われているけれど、結果として入らなかったことは事実。「しっかり蹴れ」とか「もっと落ち着け」とか周囲は言うけれど、代表のエースとして活躍してきた横浜FCのカズは違った。「こぼれ球を狙ったんだよ。体勢がそうだもん」。加地が打ったシュートの跳ね返りを狙っていたら、いきなり自分の前に来た。それで反応が遅れたというのだ。

 ビデオで見返すと、確かに加地はゴールを見ながら右足を振り抜いている。その動きを見ていた柳沢は、相手GKを目掛けて詰めている。はじいたボールを押し込むためだ。仮にクロスに合わせるなら、体は右側に開いているはずだが、そうではなかった。加地の「シュート」はミスキックとなって一直線で自分に。慌てたとしてもおかしくないし「突然ボールが来た」と思っても不思議ではない。

 もちろん、柳沢がミスをしたことに変わりはない。仮にこぼれ球を狙っていたとしても、ボールに瞬時に反応するのがストライカーだ。ただ、プレーには、いろいろな見方がある。状況がある。右からのクロスをシュートミスしただけではなく、そのプレーに至った理由がある。カズと同じ横浜FCの城は「一番悔しいのは本人なんですよ」と言った。98年フランス大会無得点で、帰国時の成田空港で水を掛けられた苦い思い出があるだけに、その言葉は重い。あまりに大きい柳沢のミス。だからこそ、その悔しさをブラジルを相手にぶつけてほしい。

荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
 84年入社。スポーツ部でサッカー、五輪などを担当した後、96年からスポーツ部デスク。98〜00年は日刊スポーツ出版社編集長。東京都出身。44歳。

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