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荻島弘一コラム

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2006年06月24日

急成長を勘違いした

<1次リーグ:ブラジル4-1日本>◇22日◇F組◇ドルトムント

 完敗だった。1分け2敗で奪った勝ち点は1だけ。得点2に対して失点は7を数えた。日本が挑んだ3回目のW杯は、予想以上に厳しい結果で終わった。悔しい思いもあるけれど、結果としては正当だった。オーストラリア戦の逆転負け、クロアチア戦の引き分け、ブラジル戦の大敗。それが、現在の日本の実力だ。

 点が取れないFW、1対1で負けるDF、走り負けするMF、そして監督の采配。惨敗の理由は数多くある。しかし、一言で言えば日本サッカーの力が足りなかったという点に尽きる。「代表チームは、その国のサッカーを映す鏡」と、言われる。代表の惨敗は、日本サッカー界の惨敗だ。

 「サッカーバブル」が、はじけたのだ。94年のW杯は最終予選で敗れ、98年は初出場、02年はベスト16に入った。世界的に見ても珍しい急成長で、勘違いをした。94年も98年もアジア3位。悲劇と歓喜を分けたのは、出場枠の問題だけだった。開催国として臨んだ02年はシード国として臨んでの1次リーグ突破。中身を見ずに結果だけを見て、急成長を信じ込んできた。まさにバブルだったのだ。

 選手や監督はもちろん、日本協会までが「バブル」に浮かれていたのではないか。「ベスト8」の目標はいいが、あまりに現実的ではなかった。「選手個々の力の差」も、今分かったことではない。もちろん、我々マスコミも同様。連日のように「日本は勝てる」と楽観報道を続けた。期待を持たせる番組作り、紙面作りは必要だけれども「勝てる」の垂れ流しは、無責任と言われても仕方ない。

 日本サッカーは、確かに成長している。しかし、世界のサッカーも成長しているのだ。日本と世界との差は、3連敗した98年大会から今大会まで、8年間で勝ち点1分しか縮まっていなかった。急成長に見えただけで、正確な力が見えなくなっていた。その現実を受け止めることから、まず始めなければならない。

 前回ドイツ(西ドイツ)で行われた74年大会は、参加16カ国。今は倍の32カ国が参加するが、16カ国で争う決勝トーナメントに進出した監督たちは「これからが本当のW杯」と声をそろえる。残念ながら、日本は「本当のW杯」前の予選(1次リーグ)で敗れた。

 日本は本当の力を知った。さらに世界との差を縮めていくためには、今後も成長していくことが大切。急成長に見える時もあるだろう、停滞して見える時もある。それでも重要なのは少しずつでもいいから、確実にその差を縮めていくことだ。まだ3回目のW杯、日本は世界のサッカー界では「新興国」なのだから。

荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
 84年入社。スポーツ部でサッカー、五輪などを担当した後、96年からスポーツ部デスク。98〜00年は日刊スポーツ出版社編集長。東京都出身。44歳。

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