2006年06月28日
豪におけるサッカーとラグビーの関係
オーストラリアがイタリアに挑んで敗れた。23選手の平均体重80・6キロは、32カ国中最重量。78・0キロのイタリアが「パワー勝負に気を付ける」と話していたが、その通りに相手の屈強なDF陣に堂々と渡り合った。ロスタイムに与えたPKで惜敗したものの、日本も苦しめた「強さ」をこの日も見せつけた。
オーストラリア代表合宿取材の時、隣のグラウンドにラグビーのハンドダミー(ラックやモールなどの練習で使う用具)が並んでいた。当然ラグビーの練習が始まると思っていたら、始まったのは地元サッカークラブの練習だった。ダミーに当たりながらパスを回す。ボールを蹴る音と、ダミーにぶつかる鈍い音が響く。「いつもやってる練習だよ」。地元記者が教えてくれた。
ラグビーが盛んなのは知っていたけれど、まさかサッカーの練習にラグビー用具が出てくるとは。子供のころから体をぶつけ合うことに慣れた選手たち。体で行くのを嫌がらないし、むしろぶつかり合いを喜んでいるような感じもある。「こちらの選手は、テクニックではなくフィジカルで勝負しようとする」。シドニーFCの監督だったリトバルスキー氏があきれたように話したのを、思い出した。
ジーコ監督は退任会見で「体格と体力」を日本の課題に挙げた。何を今さらと思わないではないが、オーストラリアとの対戦で自分の想像を超える現実を思い知ったのかもしれない。W杯に3度出場し、世界的な名声を得たジーコ監督にとっても、考えもしなかった大きな差だったのだろう。
大会は決勝トーナメントに入り、激しさを増している。負ければ敗退というノックアウト方式は緊迫感もあり、1次リーグとは異質なものを感じる。オーストラリア代表のMFケーヒルはイタリア戦後「命をかけて戦った」と話した。強靱(きょうじん)な体力を支えるのは「勝ちたい」という強い精神力。決して体力勝負が好きなわけではないが、これもまたW杯の魅力ではある。
- 荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
- 84年入社。スポーツ部でサッカー、五輪などを担当した後、96年からスポーツ部デスク。98〜00年は日刊スポーツ出版社編集長。東京都出身。44歳。


