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荻島弘一コラム

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2006年07月 9日

ストライカー受難は続く

 今大会のMVP候補10人が発表された。FWは何と2人だけ。前回は4人が候補に入ったが、今回はフランスのアンリとドイツのクローゼだけだった。大会の主役のMVPには、FWや攻撃的MFが選ばれることが多い。前回大会はGKカーンだったが、残りはすべてFWか攻撃的MF。MVP候補を見るだけでも、いかに今大会がストライカー不在だったか分かる。

 オランダのファンニステルローイを筆頭に、力を出し切れずに大会を去ったストライカーは多い。スウェーデンのイブラヒモビッチやコートジボワールのドログバはチーム力自体に問題もあったが、ブラジルのロナウドは得点記録を塗り替えただけで終わった。イングランドのルーニーなど退場で大会を去った。アンリだって、アーセナルで見せるすごみは感じない。

 FWそのものの人数も少ない。決勝戦もそうだが、ピッチに立つ22人のうちFWは2人だけ、というのも珍しくなくなった。両サイドのMFがウイングのような働きをして、実質的な3トップに近くなるのも1トップの特徴。しかし、今大会は両サイドMFが守備に追われて攻め上がれず、結果的に1トップが孤立するケースが目立っている。

 リスクを冒さない試合運びのために、中盤の人数を増やすのは分かる。じっくりとチームづくりができるクラブと違って、代表は寄せ集め。まず手っ取り早く向上する守備に手をつけるのだろう。その後は、時間と手間がかからないセットプレーの練習だ。そんな中で犠牲になるのはストライカー。そして、攻撃的な魅力に満ちたサッカーだ。

 FIFAのブラッター会長はゴール減少に危機感を抱き「サッカーの魅力を取り戻す」と言った。ゴールを大きくするのか、10人制にするのか。あるいは、さらにGKを泣かせる魔球ボールでも発明するのか。守備偏重の考え方が変わらない限り、ストライカー受難は続く。そのうちに「0トップ」なんていうチームが出てくるかもしれない。

荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
 84年入社。スポーツ部でサッカー、五輪などを担当した後、96年からスポーツ部デスク。98〜00年は日刊スポーツ出版社編集長。東京都出身。44歳。

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