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吉崎エイジーニョコラム『ドイツ先乗り!エイジーニョ!!』

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2006年03月27日

隣人を見よ、ジーコジャパンに求めたいサプライズ人事

japan060228.jpg 日本代表が30日、エクアドル戦に臨む。
 これ以降、大会直前の5月までは強化の日程が組まれていない。チームはいよいよ本大会モードへ入っていく。

 こちらドイツで、2月28日に行われた日本-ボスニア・ヘルツェコビナ戦を取材した。各方面でも指摘されたとおり、あの試合での日本代表の元気のなさはちょっと気になった。中でも本大会でも採用が有力視される、4バックはやや不安定だった。

 DF宮本は「センタリングを上げられた時、中央でしっかり人数を割いて守りたい」と話した。
 ジーコジャパンは、03年にアジア杯に優勝し、04年4月にはアウエーで欧州の強豪チェコを下している。海外組、国内組、主力組、サブ組だなんて言われながらも、4年間かけてつくり上げたチームが、ここに来て勢いを失っているように見えた。
 
 ちょっと悪い予感がしている。
 先日の「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」でも話題になった、韓国と比べてのことだ。
 筆者は「週刊サッカーマガジン」で韓国情報コーナーを担当していて、5年ほどずっとこの国の情勢を見ている。野球だけではなく、サッカーでも猛烈な強化を見せている。

 昨年9月に、元オランダ代表監督ディック・アドフォカートが就任した。本大会、9カ月前の就任だった。02年W杯以降、この国が迎える3人目の代表監督で、国内メディアも「時間がない」と焦りを隠さなかった。しかし、そんなチームがここにきて勢いをつけている。年が明けてすでに13試合をこなし、8勝を挙げた。2月5日には、強豪メキシコを下した。ほぼアウエーといえる米国の地での白星だった。

 チームは競争意識と、新しいシステム4-3-3を完成させる刺激に満ちあふれている。「時間がない」というメディア、サポーターとアドフォカートの最大の争点は、4バックの導入だった。アドフォカートは、就任当初から欧州で最先端を行く4-3-3システムを導入。結果を残し、メディアを黙らせている。
 近年就任した外国人監督、コエーリョ、ボンフレールのいずれも4人のDFライン導入に失敗した。あのヒディンクでも結果は同じだった。サイドバックがオーバーラップした後のスペースを突かれ、センターバックは3バックとの役割の違いに戸惑った。
 
 それなのに大会前のこの段階で、伝統の3バックを打破しようとしている。「相手が1トップで来たときに、3人のDFで守るのは意味がない。4バックにして、中央DFを2人にし、両サイドが攻撃参加したほうが、流動性が生まれる」と言い切る。

 1月31日に、デンマークに1-3の逆転負けを喫した際には、メディアはこぞって4バックを敗因にしようとした。アドフォカートはピシャリと言い返した。「4バックだけが敗因かな? これまでも、同じ守備のやり方で勝ってきたじゃないか。FWが点を取れないのが原因だろう」。元オランダ代表監督のカリスマ性に、国内メディアも論調を弱めるしかない。

 合わせて海外組、02年W杯メンバーの優遇をやめた。
 「リーグで活躍しない選手は呼ばない」との方針を明確にし、何人かの欧州組はメンバー入りも厳しい状況になっている。
 3月1日のアンゴラ戦では、プレミアリーグで左DFとしてレギュラーを張る李栄杓(イ・ヨンピョ=トットナム)を招集したが、右サイドで起用した。同じ左サイドで国内組の金東進(キム・ドンジン=ソウル)のそれまでの活躍をむげにはしなかった。その他にも、新鋭ボランチ李浩(イ・ホ=蔚山)、兵役中のサイドアタッカー、鄭■鎬(チョン・ギョンホ=光州)などが海外組を押しのけ、堂々とレギュラーを張っている。
 
 アドフォカートの手腕は、ここからも発揮されることだろう。2月末の会見では、こんなことを言っている。
 「勝負は大会直前の5月だ」。
 大会直前のスコットランド合宿では、メンバー全員がじっくり顔を合わせ、チームづくりができる。そこまで、誰が最終エントリーの23人に入るのかというスリルもある。
 
 思えば、02年W杯の時もそうだった。トルシエの日本代表は4年かけてじっくりつくり上げてきたが、大会14カ月前に韓国代表監督に就任したヒディンクの「突貫工事」のチームの方がいい結果を残した。
 後にヒディンクは「大会直前のイングランド、フランスとのテストマッチでチームができ上がった」と話している。
 前回大会のように、隣人が楽しく踊る姿を見たくはない。

 日本は今回が、W杯3度目の出場。
 実のところ見ている側も、大会半年を切った時期でのチームづくりの感覚はつかみにくい。前々回の岡田武史、前回のトルシエ両監督もこの点では決して経験がある方ではなかったと思う。そこで今回は、選手時代にW杯3回出場したジーコのカンが便りになる。
 何か策はあるだろうか。大会直前には、ドイツ(5月30日)マルタ(6月4日)との対戦が控えている。

 ここまで、どちらかというとメンバーを固める方針でチームはつくり上げられてきた。想像するに、本大会直前の時期には、その完成度を高めていくのだろう。だからこそ、既存のメンバーのパフォーマンスが落ちたときに代わる存在がいるのだろうかという不安が生まれる。
 そう考えると、大会直前まで、チームに刺激を与える余地を残すべきではないか?
 ずばり、佐藤寿人(広島)長谷部誠(浦和)あたりにその役割を期待したい。大会直前にこそ、チームをかき回す役割が重要になってくると思うのだが? 「サプライズ人事」はあるのか?
 2人の招集された30日のエクアドル戦には、そんな見所があると思う。

※■は日へんに景

※写真は日本-ボスニア・ヘルツェゴビナ戦より。後半ロスタイムに中田が同点ゴールを決め、喜ぶ日本イレブン。

吉崎エイジーニョ
 本名吉崎英治。1974年生まれ。大阪外大朝鮮語科卒。フリーランスのサッカーライターとして「Number」「サッカーマガジン」などに執筆する。
 2002年、日刊スポーツの入社試験を受け、最終面接で落ちた過去を持つ。だからこそ、オファーをくれたこのサイトのために頑張る。
 2005年9月に渡独。W杯開催国で先乗り取材を続ける。個人ブログ: http://ameblo.jp/eijinho/

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