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W杯ヒストリー

−第13回メキシコ大会−

「神の手」で平和的敵討ち?

 86年メキシコ大会は、まさにマラドーナのためにあった大会だった。自らの力でアルゼンチンに2度目の優勝をもたらした。運命のイングランド戦では「神の手ゴール」や、自陣内から得意の左足だけでのドリブル、フェイントで5人抜きの鮮やかなゴールを見せてもくれた。

 神の手ゴールも相手がイングランド戦だったからこそ、思わず? 手が出たのだろう。大会4年前の82年、フォークランド諸島(アルゼンチン側呼称はマルビナス)をめぐるアルゼンチンと英国の紛争があり、アルゼンチンは敗れている。天才マラドーナを擁しているだけに、アルゼンチンにとっては平和なピッチの上で「敵討ち」をしたいところだった。

 1次リーグでは別々の組に入った。互いのグループで1位になると、決勝でなければ対戦できない組み合わせだった。そうなれば途中での取りこぼしも考えられたが、サッカーの神様は粋な? 計らいをした。アルゼンチンは順当に1位、イングランドは苦しみながらも2位。決勝トーナメントで最も華やかなであり、見応えがある準々決勝という場を両チームに与えた。

 満員のアステカスタジアムでゲームは始まった。暑い昼下がりのせいか、前半は両チームともチャンスはあまりなかった。ゲームが動いたのは後半だった。6分、イングランドDFホッジが無造作に浮かせたボールをGKシルトンにバックパス。忍び寄ったマラドーナが左手を伸ばしながらジャンプ。シルトンともつれながらも、左手に当ててゴールに流し込んだ。「神の手ゴール」の誕生だった。【86年大会取材・黒木博一】


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