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ドイツGKカーンが代表引退/3位決定戦

3位決定戦後、ピッチにあおむけになり天を仰ぐカーン(撮影・宇治久裕)
3位決定戦後、ピッチにあおむけになり天を仰ぐカーン(撮影・宇治久裕)

<3位決定戦:ドイツ3-1ポルトガル>◇8日◇シュツットガルト

 ドイツ代表GKオリバー・カーン(37=バイエルン)が、代表での闘争に終止符を打った。3位決定戦のポルトガル戦で今大会初先発。再三の決定機を好セーブで防ぎ、3-1の勝利に貢献した。02年W杯のMVP守護神も今大会は直前にレーマンに定位置を奪われていたが、最後に長年培ってきた実力と経験を発揮。試合後に代表引退を表明した。フランスMFジダン、ポルトガルFWフィーゴらとともに、90年代後半から世界のサッカーをけん引したスターが代表の舞台から降りた。

 いつもの、こわもてな表情ではなかった。カーンが柔和な笑顔で両手を振り場内を一周した。会場の外では打ち上げ花火が次々に上がる。カーンに向けられた無数のフラッシュは、線香花火のようだった。「今日の試合が最後の代表戦だ。素晴らしい最後になった」。時代を彩ったスターが幕切れを告げた。

 惜別の決意が、力を増幅させた。前半15分、1対1で迎えたFWパウレタのシュートを完全に読み切った。後半18分にはMFデコのゴール右隅への弾丸シュートを左手1本ではじく。場内から「オーリー、オーリー」と名前が連呼される。同38分にはC・ロナウドのシュートを、逆を突かれながら右へ飛んで止めた。

 大会前に突然、レギュラーをはく奪された。プライドが高く、激しい気性から、誰もが代表離脱を予想した。だが逃げなかった。第2GKとしてW杯参戦を表明した。「カーンかレーマンかという問題ではない。負けることもある。自分の経験を伝えていきたい。そうすれば王者になれる」。ドイツに欠ける経験という1ピースを、己の存在で埋める覚悟だった。

 潔い決断は感動を呼んだ。「レギュラー以外はスポンサーがつかない」というCM界の定説を覆し、オファーが殺到。ビール会社のCMではビアガーデンのベンチに座りビールを手に「知ってるか? ベンチの上が最も美しいんだ」と粋なせりふを口にした。

 大会中には「ベンチに向かうまでの足が重い。試合中はプレーを見て何かを感じ取ろうとしているが、終わったら早く控室に帰ろうとしている」と苦悩ものぞかせた。それでも準々決勝アルゼンチン戦のPK戦前にはレーマンの手を握り、鼓舞した。勝利を願う気持ちが、凍っていた心を氷解させた。

 試合後、4年前の決勝で当時はブラジル監督として相対したポルトガルのフェリペ監督に歩み寄った。「4年前もこの結果になっていればよかったのに」。完全燃焼した充実感が冗談を口にさせた。

 ドイツ伝統の不屈の闘志を、カーンが生きざまで表現した。「素晴らしい瞬間に立ち会えた。ファンの声援に支えられた。信じられない熱狂だった」。長年の闘争を終えた男の顔は晴れやかだった。【広重竜太郎】

[2006年7月10日8時46分 紙面から]


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