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響け!ホイッスル日本代表/ビバW杯

 FIFA公認として82年スペイン、86年メキシコ、02年日韓大会のピッチに響いた日本製ホイッスルがある。東京・亀有の町工場でつくられた野田鶴声社(かくせいしゃ)の笛だ。今大会は笛に対して公認をせず、審判の選択に任せられた。それでも自分の商品に自信を持つ野田員弘(かずひろ)社長(75)は、ドイツで響くのを確信してテレビに耳をそばだてている。

 68年から製造を始め、世界45カ国に約1500万個を輸出してきた。NATO軍が使い、大阪・岸和田のだんじり祭りでも鳴り響く。アテネ五輪男子バレーボール決勝でも使用されるなど、大舞台の常連だ。サッカー用は73年からつくり始めた。「ほかではつくれない、魔法の笛」(野田社長)は世界一高い音が出るといわれている。

 職人手づくりの一品は中のコルクが違う。外国製はだ液を吸収し音がこもり、乾燥すると割れる。野田鶴声社製は良質のポルトガル製に特殊加工を施す。8ミリで統一され、水分を吸わず割れない。98年フランス大会決勝を裁いた故ナイド・ベルコーラ氏が「出来が良すぎる。もったいなくて吹けない」と、使わずに部屋に飾った逸話もある。

 ここまで社長の耳になじみの音はまだ響いてきていない。だが、前回大会で34人の主審全員にプレゼントしており、2大会連続出場の審判は使う可能性がある。「早く寝るから、あんまり見てない。でもいつか聞こえると思うよ」。

 10年の南アフリカ大会の時、社長は79歳になる。跡継ぎはおらず、従業員6人の笛製造は一代で終わる。社長の視力も低下してきた。それでも意気軒高だ。「オファーが来たらまた、やってやるよ」。江戸っ子かたぎの頑固者が作った鶴の一声を世界に響かせるため、自慢の「日本代表」をつくり続ける。【井上満夫】

[2006年6月26日8時38分 紙面から]


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