FIFA掟破りの審判起用/ビバW杯
イングランド-ポルトガル戦の担当審判がアルゼンチンのエリソンド主審となったことは、国際サッカー連盟(FIFA)が伝統的に守ってきた「禁」を破ったことを意味した。ベスト8に残った国の審判員が準々決勝以降の試合を担当できないという“内規”が見直されたもので、FIFAのウェルツ広報担当は「能力の高い審判員が重要な試合を担当できるようにするための措置」と明かした。
ベスト8入りした国の審判員が笛を吹くのは86年メキシコ大会以来20年ぶり。ただし、当時は準々決勝で敗退した国の審判員が準決勝以降を担当した。自国が勝ち残っているラウンドでは担当から外されている。今回は準々決勝に残ったアルゼンチンの審判員が、準々決勝を担当する。
自国が残っているラウンドを担当するとなると、66年イングランド大会までさかのぼる。かつては審判の買収などが懸念されたが、FIFAは「審判のモラルが向上して八百長の心配がなく、安全管理も行き届いており脅迫の心配もない」と、内規を見直しても問題がないことを強調する。だが、内規がいつ変更されたかは明かされていない。
前回大会では誤審が相次いだが、今回もポール主審(イングランド)の同一選手への3回の警告や、イワノフ主審(ロシア)のW杯史上初の4人退場劇など、まずい判定が相次ぐ。なりふり構っていられない。たとえ理由が「後付け」になっても、FIFAが優秀だと信じる審判員をあてていくしかない。
一方で、23人いた主審のうち現在も残っているのは12人。欧州6、南米2以外は4大陸すべてから1人ずつ。実力で選考されたはずなのに、全6大陸の主審が残っている。政治的な配慮が見え隠れする。能力主義と政治的な配慮。矛盾するような危険なバランス感覚の中で、審判への信頼回復を図ろうとしている。
[2006年7月2日8時47分 紙面から]
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