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中田考え直せ!デルピエロ引き留め電話も

 【ドルトムント(ドイツ)3日=佐々木一郎】イタリア代表FWアレッサンドロ・デルピエロ(31)が、元日本代表MF中田英寿氏(29)の引退を惜しんだ。4日に控えた、重要な準決勝ドイツ戦の前日にもかかわらず、コメントを寄せ、直接電話して引退を翻意させたい意向を示した。98年セリエA開幕戦で対戦してから8年。認め合うからこそ、気に掛けずにはいられなかった。

 いよいよ佳境を迎えたW杯。4度目の優勝を目指すイタリア代表は、この日午後、ドルトムントW杯競技場で練習を行った。約1時間、開催国ドイツとの決戦に向けた最終調整だ。その練習後の取材ゾーン。目前に迫った4強対決に向けて集中したかったのだろう。ジラルディーノ、トニらは記者の質問を遮って素通りした。

 ピリピリムードは明らかだった。ドイツ戦に向けた話を向けるのも、はばかられるほどの緊張感。そんな中、試合への意気込みをイタリア人記者に示した後、中田氏についての質問を振られると、足を止めた男がいた。デルピエロだ。「ナカタが引退したことを知っていますか?」。この問いかけに、嫌な顔一つせずに答えた。

 デルピエロ それは、僕も聞いた。残念なことだよ、まだ若いのに…。電話をして、考えを変えるように言ってみるよ。

 ウェブサイトでの発表から、約5時間後のこと。聞き捨てられない情報を既に知り、自分なりの考えをまとめていた。今大会は3試合出場(120分)で、先発の座を約束されている立場ではない。そんなイタリアの至宝が大事な決戦を前にしながら、試合とはまったく関係のないことにも言及するほど、中田氏の引退表明は大きかった。

 初対決は、98年9月13日のセリエA開幕戦。ペルージャに移籍した中田氏は、ユベントスとのデビュー戦で2得点した。試合こそ3-4で敗れたが、強烈なインパクトを世界最高峰リーグといわれるファンに、そして、絶大な人気と実力を誇るデルピエロに残した。試合後、中田氏は「デルピエロが、ピッチの上でどう動くかは手本になった」と話した。この時から、2人は認め合う関係になった。

 7シーズンにわたりセリエAで対戦し、世界選抜でプレーした仲でもある。中田氏が主催するテレビ番組で対談し、電話番号を交換しながら、親交を深めた。3度目のW杯、背番号7、ここまで代表出場77試合と、奇遇な共通点を持つ2人。惜別の情を交えつつ翌日に試合を控えたデルピエロは、厳しい表情を一瞬緩ませて、かつての戦友をおもんぱかっていた。

[2006年7月5日10時6分 紙面から]


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