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ジダン決勝PK弾でM1/準決勝

後半ロスタイム、ポルトガルCKでゴール前に陣取ったジダンはイレブンを鼓舞
後半ロスタイム、ポルトガルCKでゴール前に陣取ったジダンはイレブンを鼓舞

<準決勝:フランス1-0ポルトガル>◇5日◇ミュンヘン

 フランス代表MFジネディーヌ・ジダン(34)が、現役最後をW杯決勝で締めくくる。準決勝ポルトガル戦で、前半33分にPKを決めた。1-0の勝利に導き、イタリアとの決勝(9日、ベルリン)に進出した。大会後の引退を表明して臨んだW杯。スペインFWラウル、ブラジルDFロベルト・カルロス、ポルトガルFWフィーゴらレアル・マドリードで同僚だった仲間の道をことごとく断ち、8年ぶり2度目の優勝へ王手をかけた。

 スタンドから、無数のフラッシュが光る。ジダンがCKを蹴るたびに、観客はカメラを構えた。もう2度と見られないかもしれない、このプレー-。しかし、本人はセンチメンタルに浸っていない。決勝ゴールの場面、ジダンは背中で語っていた。

 前半33分、FWアンリが倒されて得たPK。GKに読まれたが、届くはずのない左サイドネットに突き刺した。仲間に囲まれたが、笑顔はなし。派手なパフォーマンスもない。まだ次があることを、雰囲気で悟らせた。汗を滴らせながら走った90分。ブラジル戦ほどの輝きはなかったが、随所で卓越した技術を駆使して試合をコントロールしながら勝利に結び付けた。

 「最大限の努力をして、決勝までたどり着いた。優勝カップを持ち帰れるように頑張りたい。しかし、簡単ではないね。でも、僕らには闘志という武器がある」。前評判の高くなかったフランスは、ジダンの最後を飾ろうとチームが結束した。1次リーグ敗退の危機から一転、優勝が目前に迫ってきた。

 引退表明は、4月下旬。理由は2つある。1つは「W杯に集中するため」。もう1つは、やや痛々しい。レアルでの3季連続の無冠も決断の原因だ。「もし他のクラブで成功していたら引退しないか」と聞かれ「まず確実に考えなかった」と言った。発言後、チームメートと溝ができた。本拠地サンティアゴ・ベルナベウで最後にサポーターにあいさつした時も、ピッチで見送ったのはラウル、ベッカムら6人だけだった。

 そして迎えたW杯。この日の試合後、フィーゴとユニホームを交換した。72年生まれの元同僚も、W杯限りで代表から去る見込み。決勝トーナメント1回戦スペイン戦の前「ジダンのラストマッチにさせたい」と言ったラウルも退けた。準々決勝ではブラジルを下し、失意のロベカルは代表引退を明かした。くしくも全員がレアルで戦った仲間。個人的な恨みはないだろうが、ジダンの怨念(おんねん)は快進撃へのバネになった。

 「98年大会のことは、よく覚えている。だから最後まで頑張り、優勝するんだ。まず休んで体力を回復しなくては…。今晩の試合で全部出し切ってしまった。合言葉は『一体になって死ぬ気で頑張ろう』なんだ」。歯が浮くようなセリフも、真剣さが加わればくさくない。最終章へ-。すべてを出し切る覚悟ができている。【佐々木一郎】

[2006年7月7日9時12分 紙面から]


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