決勝は史上初の1トップ対決
イタリア-フランスの決勝戦は、W杯史上初めて1トップ同士の対決になる。フランスのFWティエリ・アンリ(28=アーセナル)は優勝した98年大会に立てなかった決勝のピッチで自らのゴールで優勝に導く決意でいる。イタリアのFWルカ・トニ(29=フィオレンティーナ)はセリエA31得点の意地を最後に見せる。ともに77年生まれのストライカーが、世界NO・1の座をかけて激突する。
あの悔しさは忘れていない。イタリアとの決勝は、FWアンリが8年前の忘れ物を取りに行く舞台でもある。自国開催で優勝した98年大会の決勝ブラジル戦。それまで6試合に出場してチーム最多3得点していたが、決勝だけはピッチに立てなかった。「本当は後半10分から出る予定だった。でもデサイーが退場になってプランがガラッと変わってしまったんだ。落胆したよ。優勝したことで救われたけどね」。
今回は1トップシステムを採用する不動のエース。1次リーグ敗退危機だったトーゴ戦で勝利を決定付ける2点目を決めた。出場停止だったジダンの現役をベンチで終わらせるわけにはいかなかった。準々決勝ではブラジルを沈める決勝ゴール。「98年のときは20歳だったし、そんなに欲張ってはいけないと思った。でも、今はチームの原動力になりたい」。エースを自覚する男は、やるべきことを分かっている。
決勝で活躍できないジンクスも消し去る。出番のなかった98年W杯。00年欧州選手権は不発。所属するアーセナルではFA杯3度の決勝でもいまだ得点がなく、5月の欧州CL決勝バルセロナ戦でも沈黙した。「チャンスは取れるときに取らないと。優勝カップを手にするためにね」。大会3ゴールは、まだまだ不満。得点王のタイトルも視野に優勝を決めるゴールを狙う。
イタリアには苦い思い出がある。99年、モナコからユベントスに移籍したが、なじめないまま、わずか半年で放出された。その恨みなのか、アーセナルではイタリア勢クラブを相手に10試合で8発と不思議な力を出している。「イタリアはさそりのようなスタイル。忍耐強く、攻撃の瞬間を待っている」。刺される前に刺す。アンリの鋭いシュートが、4戦完封中の青い壁をぶち破る。【西尾雅治】
[2006年7月9日7時44分 紙面から]
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