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俊輔魔球弾!意図した左足も空し…/F組

<1次リーグ:オーストラリア3-1日本>◇12日◇F組◇カイザースラウテルン

 日本代表MF中村俊輔(27)が、初のW杯舞台で得点を挙げた。前半26分に、ゴール右45度の25メートル地点で左足で浮かしたボールが、そのままゴールに吸い込まれた。6年前のシドニー五輪米国戦で初披露し、今大会前から再び磨いてきた「魔球」が、大舞台の初戦で威力を発揮したが、オーストラリアに1-3の逆転負けで、残念ながら勝利には結びつかなかった。W杯の怖さを知った中村が、18日のクロアチア戦では日本を勝利に導く。

 偶然のゴールではない。中村が前半26分、右サイドのゴールライン付近までオーバーラップした駒野からマイナスのボールを受けた。目の前にはマーカーが1人。フェイントを入れながら、FW陣の飛び込みを待った。タイミング良く柳沢と高原がゴール前に走り込んでいく。その瞬間を逃さなかった。

 「GKとDFの間に落としてバックヘッドしてもらおうと思ったけれど、そのまま入ったね」。左足親指の付け根でカーブをかけ、勢いを抑えた浮き球をゴール前に送った。ボールはオーストラリアDF3人と味方FW2人、相手GKが伸ばした右手をも超えて、ゴール前でワンバウンドした。そのままゴールに吸い込まれるようにネットを揺らした。次々と味方に抱き付かれながら、左手を上げて人さし指を天に突き上げた。

 大会前からイメージしたシーンだ。「相手は身長が高いから2階からボールを落とす感覚でクロスを上げないと、味方の頭には届かない。アメリカ戦のタカ(高原)の2点目のイメージかな」。シドニー五輪準々決勝の米国戦。中村は後半27分に、相手DFの頭を越して、その後方に走り込んだ高原の頭へ、浮き球で正確なラストパスを送った実績があった。

 ドイツ入りした初練習後から、大きくカーブをかける「魔球」を繰り返した。今回は、イメージよりボールが少し長く、味方が相手GKとぶつかったことなどでゴールになったが、意図を持って左足を振った。6年前の感覚を戻すため、リーグ戦後に帰国し、オフ8日間は一切ボールに触らなかった。セルティックにはFWハートソンらヘッドの強い選手が多く「魔球」を磨く必要がない。「ゴール前に上げれば、誰かが頭で合わせてくれる」。その感覚を払しょくするため、1週間以上も頭をサッカーから離した。

 逆転負けはしっかり教訓として胸に刻んだ。「同点となってから点を取りにいって、中盤の守りが福西さん1人になってしまった。クロアチア戦は細かいミスを減らして勝ちにいく」。ゴールの代償として相手の激しいチャージを受け、試合後は左足を引きずっていた。自ら決めた貴重な先制点は、結果的に空砲となってしまった。初経験の大舞台で逆転負けの悔しさを味わった。今度こそ。中村が、クロアチア戦では日本を勝利に導く値千金の得点を決める。

[2006年6月13日10時53分 紙面から]


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