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祖国と対戦三都主「日本嫌いだ」から10年

ミニゲームでボールを奪いに行くDF三都主(撮影・蔦林史峰)
ミニゲームでボールを奪いに行くDF三都主(撮影・蔦林史峰)

 日本に魂をささげる。DF三都主アレサンドロ(28=浦和)にとって22日の1次リーグ最終戦ブラジル戦は、祖国との対戦になる。しかも、決勝トーナメント(T)進出へ、負けが許されない大一番。01年11月に日本国籍を取得して4年半、運命さえ感じさせる。同じブラジル出身のジーコ監督とともに、日本のために祖国を倒すことに燃える。また、累積警告で出場停止となるDF宮本の代役には、DF坪井慶介(26=浦和)が指名された。

 三都主の魂はブラジルの象徴カナリア色ではなく、ジャパンブルーに染まっている。日本人になった時から、いつの日か祖国と対戦する予感はあった。昨年のコンフェデ杯で顔を合わせ「1回きりだと思っていた」。だが、そうではなかった。W杯で、しかも勝利しか許されない状況で、最強のセレソンと再び対戦。だからこそ燃える。「次に(向かって)1%でも可能性があるなら、100%の力でやる。絶対に勝たないと」。迷いのない言葉だった。

 日本対ブラジル。過去にはつらい思い出もある。96年アトランタ五輪で日本が1―0で勝った「マイアミの奇跡」は、留学していた高知・明徳義塾高の寮でテレビ観戦。1年後輩の小出純平さん(26=現同校コーチ)は、悲しむ三都主の姿を目にした。「『ブラジルが絶対に勝つ。負けるはずがない』と言っていた」。母国が敗れると、うっすらと涙を浮かべた。「日本が嫌いだ」とつぶやいた。それから1週間は元気がなく、ほとんど口もきかなかったという。

 ブラジル人アレックスから日本人三都主になって4年半。Aマッチ出場は74試合を数え、次戦で釜本邦茂氏、原博実氏に並び史上6位となる。青いユニホームに袖を通し、君が代を歌い、身も心も日本人になった。「ブラジルに勝って帰っても『裏切り者』と言われるかもしれない。それでも、日本人になりたい気持ちが強かった」。たとえ非難されようとも、日本を決勝Tに導けるのなら構わない。

 一緒に来日したブラジル人留学生は4人。うち1人は途中で帰国したが、三都主も含めて残り3人は日本国籍を取得した。「みんな日本を応援してくれるでしょう」。スタンドでは背番号14の青いユニホームを着た父ウィルソンさん、母マリアさんも応援する予定。みんなの後押しがある。三都主が日本人の誇りを胸に、ブラジルに挑む。【広重竜太郎】

[2006年6月21日8時37分 紙面から]


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