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オシム宅を訪問した若者/ビバW杯

 決戦の地・ドイツから28チームが姿を消した。大本命ブラジルが敗れ、史上最強の呼び声が高かったイングランドも散った。ピッチ上でひざから崩れ落ちる選手たち。観客席で途方に暮れ、そして号泣するサポーター。国や地域の歴史とプライドをかけた戦いに敗れた屈辱は、簡単にはぬぐい去れない。だが1次リーグで敗退した日本は違った。10年南アフリカ大会を目指した、ある動きには、頼もしささえ感じさせた。

 ジーコジャパンがドイツを去ってから3日後の先月26日。オーストリアのグラーツ市内に、日本人ファン4人の姿があった。当時はまだ次期代表監督の候補に挙がったばかりのオシム監督を激励するためだった。神奈川県在住の浅倉直也さん(22=学生)は「日本が決勝トーナメントに進出すると見込んで、帰りの航空券を手配していたので…。ドイツでやることもない。4年間で若い選手を鍛え上げてほしいと願い、オシムさんに会いに行こうと決めました」と話した。

 滞在していた日本代表の合宿地ボンから、まずグラーツに入った、旅行案内所で、かつて同監督が指揮したシュトルム・グラーツの練習場を知り、最寄り駅で聞き込み。タクシー運転手や周辺住民の話から突き止めたという。「執念の自宅訪問」が実り、休養先のクロアチアから帰宅したオシム監督に、激励のメッセージを書き込んだシャツやタオルマフラーを手渡した。

 30度を超える猛暑の中、手掛かりのない状態で見知らぬ町に乗り込んだサポーターの執念。いつまでも悲しみに暮れている、ひまはない。日本が新たな夢に向かって、戦いの1歩を踏み出した象徴的なシーンに見えた。【山下健二郎】

[2006年7月3日8時41分 紙面から]


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