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荻島弘一コラム

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2006年06月23日

情報戦で勝った宿沢さん、ジーコ監督は…

 「まず情報。できるだけ集めて、分析する。戦術は緻密に、戦略は大胆に」。ラグビー元日本代表監督の故宿沢広朗氏の言葉。勤務する三井住友銀行での新しいプロジェクトを前に、同行頭取の奥正之氏に故人が語ったものだという。

 55歳の若さで急逝した宿沢氏の告別式が22日、築地本願寺で営まれた。葬儀委員長を務めた奥氏の弔辞は故人の銀行員としての優秀さを振り返ったものだったが、そのままラグビーにも通じた。そして、それは同じフットボールに起源を持つサッカーにも通じる。

 宿沢氏は、日本代表監督として89年に強豪スコットランドを撃破。サッカーなら、W杯8強の常連国、オランダに勝ったようなものか。相手の前日練習を近くのビルから双眼鏡で視察、選手個々に細かな指示を与え「絶対に勝つ」と送り出した。そして勝った。「まず情報」という考えを、就任初戦で結実させた。

 スポーツでは、情報の持つ意味は年々大きくなっている。球技はもちろん、柔道やレスリングなどの対人競技、さらに陸上や競泳などのタイム競技でも、ライバルを研究し、作戦を立てるのは当然。その情報戦がもっとも進んでいるのが、サッカーのW杯だろう。相手の情報を入手し、的確に分析しているチームは、そういう戦い方をしている。

 ここまで試合を見ていると、日本はそれほど情報戦を重視していないように思える。もちろん、偵察隊を送り、それに応じて作戦も立てている。ただ、オーストラリアとの試合などを見ると、相手の情報をどう料理するかという点で、後手に回った感は否めない。

 ブラジル戦、ジーコ監督は就任以来初めてスタメンを公表しなかった。もっとも、今まですべて公表していた方が不思議。何も相手に「こう戦います」と教えることはないのに。情報戦なしで勝てるチームなど、世界にはブラジルぐらいしかない。しかし、ジーコ監督こそ、そのブラジル出身なのだ。

荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
 84年入社。スポーツ部でサッカー、五輪などを担当した後、96年からスポーツ部デスク。98〜00年は日刊スポーツ出版社編集長。東京都出身。44歳。

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