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荻島弘一コラム

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2006年06月29日

スーパースターの「視線」に興奮

<決勝トーナメント1回戦:ブラジル3-0ガーナ>◇27日◇ドルトムント

 大会にスター選手は不可欠だ。序盤で調子に乗れなかったブラジルのFWロナウドは、いよいよ本領を発揮して得点記録を更新。フランスのMFジダンも、98年大会以来のゴールを決めた。復活した両国のスーパースターの「視線」が、準々決勝をさらにエキサイティングにしてくれそうだ。

 ロナウドは、開始5分にカカのスルーパスに反応してゴールを決めた。今大会でスーパーセーブを連発する相手GKキングストンを前に冷静だった。1対1になると、ゴール右すみをチラリと見ながら得意のまたぎフェイント。倒れ込んだ相手GKを左にかわし、相手DFをブロックしながら右足のアウトでゴールに流し込んだ。まったく危なげのない得点だった。

 ロナウドの凄さは、シュートの前の予備動作にもある。確実に打てる状況をつくるためにフェイントを入れて相手を外す。決め手の1つが「視線」。ストライカーと1対1になった時、GKは相手のシュートコースを目で読む。ロナウドはそれを逆に利用し、目でフェイントして決める。

 ジダンのゴールは後半ロスタイム。これも「視線」がカギだった。相手DFプジョルをかわしてシュートを打つ間、ずっと下を向いていた。相手GKカシジャスはRマドリードの同僚。視線を上げないことで、シュートコースを読ませなかった。引っかけるようにして内側に蹴ったボールに、GKは反応できなかった。

 「ドリブルはボールを見ずに顔を上げ、周囲を見ながら」が日本で教わる常識だが、ジダンは違う。下を向きながらのドリブルは猫背になり、ぎこちない。背筋を伸ばした華麗なスタイルからはほど遠い。が、それは相手にパスコースを読ませないためでもある。顔を上げなくても常に周囲が見えているからすごい。

 「視線」をフェイントにしたロナウドと、「視線」を隠したジダン。得点時間と合わせて、ゴールは対照的だ。ただ、間違いなく2人の視線の先には黄金のW杯トロフィーがある。

荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
 84年入社。スポーツ部でサッカー、五輪などを担当した後、96年からスポーツ部デスク。98〜00年は日刊スポーツ出版社編集長。東京都出身。44歳。

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