C・ロナウド仕掛けた退場劇/準々決勝

- 後半17分、R・カルバーリョの股間を踏みつけるルーニー(AP)
<準々決勝:ポルトガル0-0(PK3-1)イングランド>◇1日◇ゲルゼンキルヘン
ポルトガルFWのC・ロナウド(21=マンチェスターU)が「ヒール」となって、母国を40年ぶりに4強へ導いた。準々決勝でイングランドと対戦。0-0で迎えた後半17分に主審へのアピールでイングランドFWルーニーを挑発し、一発退場に追い込んだ。マンUに所属する僚友の攻撃的性格を利用し、数的優位の状況をつくり出した。PK戦でも勝利を決めるゴール。英メディアを敵に回しても、栄光のために悪役を引き受けた。
策士はフェリペ監督だけではなかった。C・ロナウドが、その甘いマスクで右目をウインクした。女性ファンを悩殺したわけではない。ベンチへ向けられていた。イングランドのルーニーがわめきながら、給水ボトルを蹴り上げてピッチを後にする。一発退場、してやったり-。「任務完了」の合図だった。
一瞬で悪童をキレさせた。後半17分。DFリカルド・カルバーリョがルーニーと激しく競り合い股(こ)間を踏みつけられたのを見ると、約40メートルの距離をダッシュしエリソンド主審に猛アピール。すると怒り狂うルーニーに突き飛ばされた。一部始終を見ていた主審からレッドカードが出された。
「おれは主審に文句は言ったけど、レッドカードを出せとは言っていない」とうそぶいたが、計算ずくだった可能性は高い。ルーニーはマンUの同僚でその性格を熟知している。しかも試合前、自分の頭でルーニーの後頭部をこづいた。じゃれ合っているかのようなシーンだが、イングランドのある選手は内幕を明かす。「ルーニーは『あんなやつとは2度とプレーしない』と言っていた。試合前に『退場に追い込んでやる』と言われたらしい」。
W杯が終われば、イングランドは仕事場になる。だがそこは居心地のいい場所ではなさそうだ。英紙ミラーには「Banned(立ち入り禁止にする)」の文字が躍った。元代表のアラン・シアラー氏は「おれがルーニーなら、練習場に帰ってきたらぶん殴ってやる」と激怒。8年前のW杯で退場となったベッカムは「10人の勇敢なライオンと1人の愚か者」とたたかれたが、ルーニーは擁護され、その分の批判はC・ロナウドに向けられている。
退場劇は勝敗の行方を大きく変えた。PK戦では勝利を決めるゴールも蹴りこんだ。勝利のためには情け無用。C・ロナウドはヒールになり切り、40年ぶりの4強をつかんだ。【広重竜太郎】
[2006年7月3日9時45分 紙面から]
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