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PK戦作った90歳の幸せ/ビバW杯

 今大会で最も悲劇的な敗退はスイスかもしれない。大会無失点ながら、ウクライナとのPK戦で1人も決められず、3人とも失敗。ともにW杯史上初。まさに“ゼロの悲劇”だった。その光景を、W杯でのPK戦導入を唱えたドイツ人カール・ワルト氏(90)は厳しく指摘した。「スイスの完全な負けだった。もし学生とやっても負けただろう。彼らは(PK戦での)まともなシュートができなかった。まったく失望した」。

 ワルト氏は審判員として活躍していた1970年にPK戦の導入を提唱。82年スペイン大会から採用され、準決勝の西ドイツ-フランス戦で、W杯史上初の延長PK戦が実現した。セビリアのスタジアムの超満員7万人の悲鳴の中、西ドイツが5-4で勝利した。今回もドイツは準々決勝のアルゼンチン戦でも、延長PK戦を5-3で勝っている。

 延長戦で疲れ切ったキッカーがPKを外した瞬間、スタンドは悲鳴につつまれる。PK戦は悪魔の儀式とも呼ばれ、勝者を決める手段より、敗者といういけにえを差し出す儀式とも言われている。それでもワルト氏は「私はとても幸せだ。みんなが熱狂し、誰もPK戦に反対しない。私の想像通りだよ」と、自らの提案がW杯の歴史を彩っていることに酔いしれていた。

[2006年7月5日8時37分 紙面から]


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