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71歳金子アナW杯決勝20年ぶり実況へ出発

 ベテラン金子勝彦アナウンサー(71)が20年ぶりにW杯決勝の実況をスカパー!でするため7日、ドイツに向けて飛び立つ。70年のメキシコ大会で初めてW杯の実況(録画)を受け持ち、今回のイタリア-フランス戦で決勝の実況は通算6回目。「画面の向こうの15歳の少年たちに世界最高を伝えたい」と語る金子さんは「イタリアがいいかもしれないが、終わってみればジダンの大会、ということもあり得る」と決勝に思いをはせている。

 フランスがポルトガルを下した直後の6日午前6時すぎ、金子氏の横浜市の自宅を訪ねた。髪にはきっちりクシが入っていた。「フランスは老かいだったね。後半15分までポルトガルに仕事をさせなかった。そこが勝因ですよ」と準決勝の分岐点を短く解説してくれた。

 決勝でマイクに向かうのは6回目。74年西ドイツ大会では日本初の生中継だった。今回は放送権の関係で生中継されないが、決勝の実況は86年メキシコ大会以来。20年ぶりの“復帰”となる。「放送はディレー(録画)ですが、一発勝負の現場実況ですので私の意識では32年ぶりの生。楽しみですね」。

 テーブルの上には、手書きの資料が散乱していた。イタリア、フランスの過去の記録が書かれていた。24年前の82年スペイン大会、FWロッシを擁したイタリアが西ドイツを3-1で撃破し、3度目の優勝を飾った試合も含まれる。

 「この試合は録画実況だった。私はゴール裏の席。5列前に浪人中だったフランツ(ベッケンバウワー)がいた。試合後にインタビューしたが、さすがに『今日は勘弁してくれ』と言われた。大会委員長のフランツはどう思うか。聞いてみましょう」と落ち着いて話した。

 絶叫調で「ゴール!」を連呼する実況が日本では定着した。「試合は90分、放送時間は120分。そんなもんです。その中に歴史の深みを言葉でつむぎたい。テレビ画面の向こうで目を輝かせる15歳の少年たちにサッカーの素晴らしさを伝えたいですね」。

 無理を承知で優勝予想をしてもらった。「イタリアはユベントスが3部、ACミランが2部降格という話もある。厳しい状況。24年前もロッシは八百長疑惑から復帰直後で得点王になった。似ている。総合力ではイタリア。でも、終わってみれば引退を決めているジダンの大会だったということもある。ジダンは引退でしょうが、私は周囲から『死ぬまでやれ』といわれてますよ」。金子氏は分厚い資料を32年前の渡独時に使ったスーツケースにしまい込んだ。【寺沢卓】

[2006年7月7日9時45分 紙面から]


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