日本のこと聞いてくれ/ビバW杯
少し悲しいことがある。5月中旬の渡欧後、クロアチア代表やブラジル代表の合宿を取材した。現場では選手や監督に話を聞くことが基本だが、やはり限界もある。そんな時、当事国の記者は絶好のネタもとだ。知らない情報を差し支えない範囲で教えてくれる。
その代わり、私はこう言う。「日本代表の情報が必要だったら、何でも聞いて」。しかし、大抵の場合「おお、サンキュ。その時は頼むよ」と返されて会話終了。「何か知りたいことないのかよっ」と突っ込みたくなる瞬間だ。今のところ、あまり日本のことを知っていないばかりか、興味がないらしい。特にブラジル報道陣は「我らがセレソン」しか見えていない。
むしろ、ドイツ人記者の方がFW高原のことについて話題を振ってきたりする。イタリア人記者に「ニューカマーのFW巻がMF中田英に自己主張した」なんて言うと喜ばれたりする。自国を取材している記者は、目の前の仕事に手いっぱいなのだろう。事情はそれぞれだ。
陸上競技の取材を担当していた01年のこと。ベルリンマラソンで高橋尚子が世界記録を出した時は、ドイツ人記者から彼女のことを根掘り葉掘り聞かれた。「好きな作家は?」などと聞かれれば「宮部みゆきのミステリーでね…」なんて、得意げに答えたものだ。
やはり、結果次第で世界の注目度は変わる。W杯期間中、他国の記者が日本代表に興味を示してくるような場面に遭遇してみたい。私の語学力に問題があることも否定できないのだが…。【佐々木一郎】
[2006年6月2日9時3分 紙面から]
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