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俊輔秘密のCK「誰も触れないシュート」

黙々と走り込むMF中村(撮影・蔦林史峰)
黙々と走り込むMF中村(撮影・蔦林史峰)

 サッカー日本代表のMF中村俊輔(27=セルティック)が、W杯1次リーグ突破へ「禁断のコーナーキック(CK)」を準備する。休養日から一夜明けた6日、初戦のオーストラリア戦(12日、カイザースラウテルン)に向けてボン市内で再始動。対戦国を分析した中村は、CKで「敵味方、誰も触れないシュート」を放つとプランを明かした。平均身長で日本を上回るライバルから得点を奪うための秘策中の秘策。キックのスペシャリストの神業が、日本を勝利に導く。

 中村は、ボールを使わないフィジカル強化メニューをこなしていたときに「秘策」を思い付いた。ドイツ入りしてから10日。日々の練習、親善試合でのプレー、宿舎で分析した対戦国の戦いぶりが頭をよぎった。思い返しているうちに、ふと最終調整で取り組むべきテーマがひらめいた。CKだった。

 中村 これまでは誰かにピンポイントで合わせるCKだったけど、結局、高さのある相手にはね返された。だったら、簡単に触れないボールを蹴った方がいいのかなと思った。味方さえはじき飛ばすような。シュートに近い感覚でね。

 実はドイツ、マルタとの親善試合を2試合終えて「CKを蹴りづらい」と自信を失いかけていた。セットプレーで得点源となる宮本、中沢、福西にタイミングが合わない。休日を利用して宿舎で4日のオランダ-オーストラリア戦の映像を見ているうちに、その理由が分かってきた。

 中村 相手がデカイと(ペナルティーエリア内に)スペースがなくなる。みんなどこに入るか探したり、悩んだりしながら飛び込む。だから蹴る方も難しい。CKの精度も落ちる。

 1次リーグで対戦するオーストラリアとクロアチアの平均身長は、日本より約6センチ高い184センチ。従来の大きな放物線を描きながら味方の頭上に落下するキックでは、不利な空中戦となる。今のように明確な得点への形がなければ、なおさら精度は低くなる。得点をアシストするキックではなく、直接ゴールを狙った方が得点につながる場合もある。逆転の発想だった。

 中村 低くて速い弾道ならば、オウンゴールも誘えるかもしれない。味方が触れなくても、こぼれ球を誰かが決めればいい。

 もちろん簡単な技ではない。ゴールと角度のないCKを直接決めるには高度な技術が必要になる。しかし、中村には代表戦でCKを直接ゴールに決めた実績がある。トルシエ体制だった02年5月2日のホンジュラス戦。本人は「ミスキック」と笑ったが、絶妙なタッチと力加減でボールに変化を加えた見事なゴールだった。

 強豪国との対戦が控えるW杯では、試合の流れの中で得点を奪える機会は少ない。CKが大きな決定機になる。「ゴール前でなるべく多くのチャンスを増やしたい」という中村。4年前の一撃を、今度はW杯という大舞台で蹴り込む。【山下健二郎】

[2006年6月7日8時32分 紙面から]


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