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川淵-ジーコ緊急会談「敗戦忘れろ」

練習前にジーコ監督は川淵キャプテンと話し込む(撮影・蔦林史峰)
練習前にジーコ監督は川淵キャプテンと話し込む(撮影・蔦林史峰)

 W杯1次リーグ・オーストラリア戦の敗戦から一夜明けた13日、日本サッカー協会の川淵三郎キャプテン(69)が日本代表ジーコ監督(53)を激励した。滞在先のデュッセルドルフからボンへ緊急出動し、午後練習の開始前にピッチ上で対談した。当初は集中力を高める選手らに配慮し、決勝トーナメント進出までは代表チームとの接触を控える気だったが、前日の完敗で方針を転換した。一心同体で、負けられない18日のクロアチア戦に臨む。

 激励の言葉を掛けながら、川淵キャプテンはジーコ監督の右肩にそっと手を置いた。

 ジーコ監督 (負けてしまって)ごめんなさい。

 川淵キャプテン 気にしなくていいよ。

 険しい表情で会話していた指揮官の表情も次第に緩んだ。最高気温が34度に達した午後の練習前に、ピッチのセンターサークル内でかわされた約6分間の対談。最後はともに笑顔で、クロアチア戦の勝利を誓い合った。

 いてもたってもいられなかった。W杯初戦で予想していなかった1-3の大敗スタート。まだ1次リーグ突破の夢が断たれたわけではないが「あれだけバテた日本代表を初めて見た」(同キャプテン)とショックを受けた。だが、落ち込んではいられなかった。協会トップとして、やるべきことは何か。考えたのは、一番ショックを受けたであろうジーコ監督の気持ちをリフレッシュさせることだった。「ジーコ監督にストレスを発散させるのがオレの役目。愚痴をこぼす相手もそういないだろうから、自分が行って聞き役になる」。気力を奮い立たせ、車を1時間飛ばして駆けつけた。

 ボンで選手、スタッフを激励した翌11日には、2大会連続でベスト16を決めるまでは代表チームとの接触をしない意向を示していた。しかし、よもやの完敗で方向転換。練習場に到着するなりロッカールームに足を運んだ。「選手、監督ともクロアチア戦で全力で戦うと言っていた。気分一新だ。敗戦を引きずってはいけない」。自分自身に言い聞かせるように言葉に力を込めた。

 W杯ドイツ大会終了後に退任するジーコ監督に私的アドバイザー的な役割を依頼する意向を示すなど、02年7月に自ら招へいした同監督への信頼は厚い。昨年6月のコンフェデ杯でも、日本代表は初戦のメキシコに1-2ながら完膚なきまでにやられた。しかし、第2戦の欧州王者ギリシャに1-0と勝ち、さらに1次リーグ最終戦のブラジル戦では2-2と世界王者を追い詰めた。「今日もその話をした」と川淵キャプテン。ジーコ監督の気持ちも残り2戦へ向け、しっかりと切り替わった。

 前日の試合には不満、心配もある。「今大会ではミドルレンジからのシュートがどんどん決まっている。もっとシュートを狙っていかないと」。現場へ介入するつもりはなかったが、ジーコ監督も同じ事を考えていた。この日の練習では25メートル前後のシュート練習を前日の控え組に対し早速、実施した。「次は必ずやってくれる」と、川淵キャプテンは安心した様子で練習途中でグラウンドを離れた。【岡本学】

[2006年6月14日8時59分 紙面から]


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