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中田「勝てるチャンスあった」/F組

試合終了後、ユニホームを脱ぎながらピッチを去る中田英
試合終了後、ユニホームを脱ぎながらピッチを去る中田英

<1次リーグ:日本0-0クロアチア>◇18日◇F組◇ニュルンベルク

 MF中田英寿(29=ボルトン)の「再戦」は不完全燃焼に終わった。勝たなければ決勝トーナメント(T)進出の可能性が低くなる一戦で、積極果敢にミドルシュートを連発し、チーム最多3本のシュートを放った。だが得点には結びつかずドローに終わり、マン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)に選出されたが、不満の残る試合結果となった。望みを託す1次リーグ最終戦ブラジル戦(22日、ドルトムント)で、奇跡を起こすしかなくなった。

 終了と同時に大の字に倒れた。日本屈指のスタミナを誇る男が、ピッチに立っていられない。それほど中田英は精魂を注いだ。だが結果は0-0。MOMに輝き、高く個人の評価を受けても、勝利に導かなければ満足できるはずがない。「勝てるチャンスはあった。大きなマイナスだ」。決勝T進出が難しくなったことを痛感していた。

 強引にでもゴールをこじ開けようとした。コースが開けば、遠めからでもミドルを狙った。前半36分には約20メートルの距離から右足を一閃(いっせん)。味方が抑えの効かない浮かしたミドルを打つ中、ゴール右隅をとらえた一撃は、GKの好守に阻まれた。「開始からロングシュートを狙った。でもその後に細かいパス回しやサイドを使って攻めることができなかった」。2次攻撃にはつながらなかった。

 絶対に負けられない2920日ぶりの再戦だった。8年前のW杯。当時、弱冠20歳で海外へその存在を知らしめるために髪を金髪に染め上げた若き司令塔は、クロアチアの壁の前に屈した。好クロスはゴールに結びつかず、逆に決勝点は自らのパスミスの流れの中で奪われた。1次リーグ最終戦を待たずして、決勝Tを目指す戦いは終えんを迎えた。

 だからこそ、並々ならぬ執念を燃やした。17日のテレビ会見では、自ら質問者の言葉をさえぎり「ひとついいですか? 内容どうこうより勝つしかない」と締めくくった。GK川口がPKを止めた瞬間、ガッチリと抱きしめた。クールな仮面をはぎ取って戦った。

 だが、重荷がのしかかった。後半23分、ジーコ監督に呼ばれ「もっと前に出てキープしろ。2トップが簡単にボールを失うから中盤の運動量が増える」と指示された。ボランチの位置からも、簡単には離れられない。後半から出場した相棒の稲本の足も終盤に止まった。「個人的には前に行くか、後ろに行くか判断が難しかった」。8年前のように、攻撃に専念できない立場が足かせとなった。

 真剣勝負でのブラジルの強さは五輪、コンフェデ杯と肌で知っている。「次の試合は容易ではない。経験の差があるし、僕らよりもW杯を10回以上出ている」と認めている。だが圧倒的な実力差があるというだけで、あきらめる理由にはできない。「チャンスがある? そうじゃなかったら帰っている」。宮本が出場停止でキャプテンマークを巻くことが濃厚だ。真のリーダーと化して奇跡を起こす。【広重竜太郎】

[2006年6月19日9時19分 紙面から]


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